メルカリ・せどりの確定申告 Q&A
お答えします
開業届は、仕入れて売り始めた年の確定申告期限までに出せば期限内です。先に締切が来るのは青色申告の承認申請で、こちらは開業日から2か月。開業前に仕入れた商品の代金は、売れた年の経費になります。
本記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。リンク経由でサービスを利用された場合、当サイトに紹介料が支払われることがありますが、ユーザーが追加費用を負担することはありません。
一解説
開業届の期限は、所得税法229条が「その事実があつた日の属する年分の所得税に係る確定申告期限まで」と定めています。確定申告期限は翌年3月15日です(同法120条1項)。9月に業務を開始した方なら、翌年3月15日までに出せば期限内です。
青色申告の承認申請は、これより早く閉じます。144条は、その年の1月16日以後に業務を開始した場合の申請期限を「その業務を開始した日から二月以内」としています。9月に始めた方の締切は11月です。
青色申告には、正規の簿記による記帳を条件とする特別控除や、赤字を翌年以後3年間繰り越す扱いがあります。これらを使うなら、守るべき締切は2か月のほうになります。
144条の起算点は「業務を開始した日」です。開業届の「開業日」欄に、自分で記入します。ここに書いた日付が、そのまま承認申請の締切を決めます。
目安は、継続して収入を得るための活動を実際に始めた日です。売れそうな商品を調べていただけの期間は、まだ業務の開始にあたりません。
後から日付を説明できるよう、記録を残しておきます。最初の仕入れの領収書、最初に出品した画面、最初の売上の入金明細が裏づけになります。
フリマアプリは、着なくなった服や読み終えた本を手放すところから使い始める方がほとんどです。そこから「売るために仕入れる」へ移る時期は、はっきりした区切りが残りません。
その区切りを外から示してくれるものが、一つあります。中古品を仕入れて売る場合に要る、古物営業法の許可です。未開封の品でも、小売店や個人の手を一度経ていれば古物にあたりますので(同法2条1項)、新品同様のものを扱う場合も対象になります。
許可が要る範囲の切り方が、そのまま事業の始まりと重なります。同条2項1号は古物営業を「古物を売買し、……する営業であつて、古物を売却すること……のみを行うもの以外のもの」としており、自分の不用品を手放すだけの段階は含みません。買い受けて売る側へ移ったところから、許可が要る営業になります。
開業日として置きやすいのは、転売のために最初に商品を仕入れた日です。仕入れの領収書に日付が残りますし、その支出が事業のためのものだと説明しやすくなります。許可を受けてすぐ仕入れを始めたのであれば、公安委員会が許可証に記した日付もあわせて裏づけになります。
アカウントを作った日は、生活用品を手放すために作った時期にあたることが多く、事業の開始とは別の日です。出品日や初回の入金日も、仕入れから遅れて動きます。
所得税法施行令7条1項1号は、開業費を「事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」と定めています。仕入れ先を探すための交通費、リサーチツールの利用料、開業前に用意した梱包資材などが該当します。
同項の柱書は、開業費から「資産の取得に要した金額とされるべき費用」を除いています。転売のために仕入れた商品の代金はこれにあたりますので、開業費には回りません。棚卸資産として、その商品が売れた年の経費になります。
開業日より前に仕入れた在庫を抱えている場合も、扱いは同じです。仕入れた年ではなく、売れた年に原価として引きます。
古物商の許可を取るために払った申請手数料や、申請を行政書士に頼んだ場合の報酬も、開業日より前に払っていれば開業費に回ります。
開業のときに動き出す期限は、ほかにもあります。家族に検品や梱包を手伝ってもらって給与を払うなら、青色事業専従者給与に関する届出書が要ります。期限は青色申告承認申請と同じで、事業を開始した日から2か月以内です(所得税法57条2項)。人を雇って給与を払い始めた場合は、給与支払事務所等の開設届出書を1か月以内に出します(同法230条)。
消費税の届出にも、開業した年ならではの扱いがあります。消費税を納めない立場のままだと、仕入れのときに払った消費税は戻ってきません。開業した年にまとまった仕入れや設備の購入があり、あえて納める立場を選ぶのであれば、課税事業者を選ぶ届出を出します。ふだんは適用を受けたい課税期間の前日までですが、事業を開始した日の属する課税期間から適用を受けるときは、その課税期間中に出せば間に合います。
売り先が会社や個人事業主の場合、相手は受け取った請求書をもとに自分が納める消費税を計算しますので、適格請求書を求められることがあります。これに応えるには適格請求書発行事業者の登録が要り、その登録も同じ課税期間中に手続きできます。フリマアプリで一般の方に売るだけであれば、求められる場面は起きません。
二一次情報
所得税法 第57条第2項(青色事業専従者給与に関する書類の提出期限)(抜粋)
2 その年分以後の各年分の所得税につき前項の規定の適用を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同項の事業を開始した場合には、その事業を開始した日から二月以内)に、青色事業専従者の氏名、その職務の内容及び給与の金額並びにその給与の支給期その他財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
所得税法 第120条第1項(確定所得申告)(抜粋)
第百二十条 居住者は、その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が第二章第四節(所得控除)の規定による雑損控除その他の控除の額の合計額を超える場合において、当該総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額からこれらの控除の額を第八十七条第二項(所得控除の順序)の規定に準じて控除した後の金額をそれぞれ課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額とみなして第八十九条(税率)の規定を適用して計算した場合の所得税の額の合計額が配当控除の額を超えるとき(第三号に掲げる所得税の額の計算上控除しきれなかつた外国税額控除の額がある場合、第四号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた同号に規定する源泉徴収税額がある場合又は第五号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた予納税額がある場合を除く。)は、第百二十三条第一項(確定損失申告)の規定による申告書を提出する場合を除き、第三期(その年の翌年二月十六日から三月十五日までの期間をいう。以下この節において同じ。)において、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
所得税法 第143条(青色申告)
第百四十三条 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行なう居住者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、確定申告書及び当該申告書に係る修正申告書を青色の申告書により提出することができる。
所得税法 第144条(青色申告の承認の申請)
第百四十四条 その年分以後の各年分の所得税につき前条の承認を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から二月以内)に、当該業務に係る所得の種類その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
所得税法 第229条(開業等の届出)
第二百二十九条 居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し、若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、税務署長に提出しなければならない。
所得税法 第230条(給与等の支払をする事務所の開設等の届出)
第二百三十条 国内において給与等の支払事務を取り扱う事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、又はこれらを移転し、若しくは廃止した者は、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。
古物営業法 第2条第1項・第2項第1号(古物および古物営業の定義)(抜粋)
第二条 この法律において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
2 この法律において「古物営業」とは、次に掲げる営業をいう。
一 古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの
古物営業法 第3条(許可)
第三条 前条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営もうとする者は、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。
所得税法施行令 第7条第1項第1号(繰延資産の範囲・開業費)(抜粋)
第七条 法第二条第一項第二十号(繰延資産の意義)に規定する政令で定める費用は、個人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。)のうち次に掲げるものとする。
一 開業費(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいう。)
国税庁 タックスアンサー No.2070 青色申告制度(抜粋)
青色申告をすることができる方は、不動産所得、事業所得、山林所得のある方です。
(1)原則
新たに青色申告の申請をする方は、青色申告をしようとする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
(2)新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)
業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
(3)相続により業務を承継した場合
その年の1月16日以後に業務を承継した場合は、業務を承継した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
国税庁 タックスアンサー No.2090 新たに事業を始めたときの届出など(抜粋)
個人が新たに事業を始めたときの所得税、源泉所得税、消費税に関する届出書等とその提出期限
所得税
個人事業の開廃業等届出書事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで
所得税の青色申告承認申請書原則、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内。)
青色事業専従者給与に関する届出書青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後開業した場合や新たに事業専従者を有することとなった場合には、その日から2か月以内)
所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書次の事由が生じた日の属する年分の確定申告期限まで
源泉所得税
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書随時(原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。)。
消費税
消費税課税事業者選択届出書適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)
消費税簡易課税制度選択届出書原則として、適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)
適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)事業を開始した日の属する課税期間等の初日から登録を受けようとする場合には、その課税期間中
なお、都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署等にも届出書等の提出が必要となる場合もありますので、各行政機関へご確認ください。
※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。
三メルカリ・せどりの場合
アカウントを作った日を開業日として書くと、青色申告承認申請の2か月がその日から動き出します。実際に仕入れを始める前に締切が過ぎてしまい、その年は青色申告を受けられなくなってしまいます。どの日付を書くかで締切が動きますので、仕入れ・出品・入金のどの時点から転売を続ける状態になったのかを、伝票や取引履歴と突き合わせて決めることになります。
もう一つは、開業前にまとめて仕入れた在庫です。仕入代金を支払った年の経費として計算すると、所得を少なく見積もってしまいます。商品の代金は資産の取得に要した金額ですので開業費にも入らず、棚卸資産として売れた年の原価になります。
※実際の取扱いは業態・契約・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。
四相談先
ここまでの線引きは、実際の契約や業務の実態によって結論が変わります。 判断がつかない支出がある、金額が大きい、過去分もさかのぼって直したい——そうした場合は、早めに専門家に確認したほうが結果的に安く済みます。 依頼先の探し方は大きく 2 通りあります。

推奨
運営:弁護士ドットコム株式会社(東証プライム上場)
税理士ドットコム
全国 6,800 名以上の税理士から無料で紹介を受けられる、東証プライム上場企業運営の税理士マッチングサイト。料金や得意分野で比較可能。
こんな方に:事業所得・不動産所得・相続など複雑な申告がある方